SC12 参加レポート(No.2)SC12 report (No.2)

フランスは雪が積もり、今日は歩いてINRIAまで来ています。松浦です。
SC12のレポートは3つ前のエントリーで福井君が書いてくれたのですが、僕も下書きがあったので、折角なので晒しておきます。

SC12 概要

・会議名:SC12(http://sc12.supercomputing.org/)
・場所:アメリカ、ソルトレイクシティ
・期間:2012/11/10 – 11/18

アメリカ・ソルトレイクシティで開催されたSC12に参加し、NAISTの紹介、publish/subscribeシステムのデモおよびポスター展示、広域センサネットワークや非圧縮4K伝送のポスター展示等を行いました。

Supercomputing(SC)はHPC系トップクラスの国際会議であり、研究機関だけで無く、企業からも多数の参加があります。最新の研究を発表する場だけで無く、巨大な展示スペースが設けられ、例年300件程度の展示が行われています。

NAISTブースについて

NAISTブースでは、提案する分散Publish/Subscribeシステムのデモおよびポスター、広域センサネットワークに関する活動や非圧 縮4Kビデオストリーム配信に関するポスター展示を行いました。提案している分散Pub/Subはin network processingの機能を有しており、データ配信過程において計算処理を行うことができ、ユーザはその結果のみを受け取ることが可能です。ただし、配 送経路上での負荷上昇がシステムのボトルネックとなるために、この処理過程の分割や再配置が重要になります。提案手法を再現するエミュレーション環境を構 築し、データの配信過程で負荷が高まると分割・再配置が可視化されるデモを用いて研究成果の説明を行いました。

研究に関して熱心に説明を聞いてくれる訪問者も多く、好意的な意見が多かったので、デモ展示を通してモチベーションも上がりました。実環境に大量の センサを展開している研究者もおり、採用しているID空間の構築方法等にも興味を持ってもらえました。今回は実現できませんでしたが、今の実装をPIAX 上で動作させ、より大規模な環境で性能評価を行い、手法の改善に努めたいと考えています。またそのような環境でのデモを行うことでより研究成果をアピール できるのではないかと思います。

naist_booth_sc12

SC12 全体について

今年はGSAのスキャンダルがあり、アメリカの国立研究所には予算的な制約が課されたため、軒並み展示がキャンセルされました。今回のTop500 の一位はTITANでしたが、そのTITANを有するOak Ridgeが不参加、続く2位のLawrence Livermoreも不参加と、一種異様なSC展示会となりました。例年と比べると参加者も減少しているように感じられ、訪問者の対応に追われて手が回ら ないという状況になることはありませんでした。ただ、じっくりと説明を聞いてくれる訪問者が最終日まで絶えることは無く、そういう点ではよかったです。

展示や講演等を通して一番おもしろかったのは東工大松岡先生の話でした。大まかにはTSUBAME2.0から2.5, 3.0へ向けての取り組みが話の中心でした。その中の話題で、Ciscoによると(*1)、現状のインターネットは100Tbps(33 exa byte/month)であり、一方TSUBAME2.0のコアネットワーク部分は220Tbpsの性能を誇る。スペックだけの話をすれば、インターネッ トの2倍のデータストリームをTSUBAME2.0は収容できる。HPCの世界は現実にここまで進んでいて、次のスケール(Exa)を狙っている。こうい うスケール感を各人が持って、HPCの応用を考えて欲しいとアプリケーション事例を見せながら、聴衆に語られていました。IPルーティングの事を考えると TSUBAME2.0があったからといって、全てのトラフィックを収容できるわけではもちろんありません。ただこのような話は非常に示唆的であると感じま した。ネットワークの研究者がIoTを考えると、インターネットの思想から分散された広域システムを構築しようと考えがちです。これは正しい方向であると 考えますが、一方でブラックホールの様に全てを飲み込む(またはき出す)HPCの存在を上手くシステムアーキテクチャに加えながら考えていく必要があるだ ろうと、改めて感じました。

例年に引き続き、GPGPUやメニーコア、省電力と言ったテーマの展示は活気がありました。またFushion-ioは地元に本社がある事もあり、 一層の盛り上がりを見せていました。Eurotechで水冷の装置の説明を受けましたが、1ラックで256ノードのCPU/GPUが載るといった高密な設 計で、EUプロジェクトのDEEP(exaを目指すプロジェクト)でも利用するとの事でした。ちなみに1ラックで2,3億円程度。水冷技術だけでは今は電 気料金が高く付きがちですが、40度程度でも安定動作するCPUが出るという事で、そこに来ると気化熱を利用して冷やし循環させることで、安定した運用を 1.1(PUE)を切る水準で達成可能という事でした。Amazonも引き続き出展しており、勢いがあることが感じられました。AWSのサービスの幅が広 がってきており、Cycle Computing(*2)では最大50,000コアを占有できるサービスを展開しており、約$1,800/hourで利用できるとの事でした。AWSで 数百、数千のノードを借りて暗号解読をするなど色々な研究がAWSで行われていますが、Cycle Computingはそういった多くの計算リソースを要求する研究を一層促進させることと感じました。

参考URL

*1 Cisco Visual Networking Index: Forecast and Methodology, 2011-2016
http://www.cisco.com/en/US/solutions/collateral/ns341/ns525/ns537/ns705/ns827/white_paper_c11-481360_ns827_Networking_Solutions_White_Paper.html
*2 cycle computing
http://www.cyclecomputing.com/

by MATSUURA Satoshi