SC13参加報告Report of SC13

紅葉も終わってしまい、朝晩の冷え込みに伴い路面凍結のリスクが心配な時期になってきました。そろそろタイヤを交換しようかと考えている学生の方の松浦です。

本記事は、11月17日〜22日にかけてアメリカのコロラド州デンバーで開催されたSupercomputing2013 (SC13) への参加報告となります。

私はexhibitorとして、本学のブースで研究に関するデモを行ったり、研究関連のポスターの説明を行ったりといった形で参加してきました。

SC13

SC13の開催概要は以下の通りです。

  • 会議:Supercomputing2013
  • 会期:2013/11/17 – 2013/11/22
  • 会場:アメリカ、コロラド州デンバー、Colorado Convention Center

SCはその名が示す通り、HPC関連でもトップクラスの国際会議です。SCには通常の論文発表やポスターセッションなどに加え、企業や大学がブースを出展する巨大な展示スペースがあり、研究成果や新製品を展示しています。この展示会には日本の大学や企業も多く出展しており、私もこの展示会の方にNAISTブースの一員として参加してきました。展示会全体としては、今年は58カ国、10,550人が参加し、350件の展示が行われました。

TOP500では京が4位、TSUBAME2.5が11位にそれぞれランクインしていました。またGreen500やBig Data、Small Dataのランキングでは東工大、中央大(CREST)がランクインしていました。

Exif_JPEG_PICTURE

DSC_0189

DSC_0201

NAISTブース

本学のブースではポスターの展示と大学の紹介動画、研究関連のデモを行いました。

展示していたポスターは、

  • NAISTの紹介
  • 本学が参加している教育プログラムenPiTの紹介
  • 本学の計算機・ネットワーク設備の紹介
  • 非圧縮4K動画のIPネットワーク伝送技術に関する研究の紹介
  • Software Designed Network (SDN) 技術の一つであるOpenFlowを用いたDC省電力化に関する研究の紹介
  • ストリームデータ処理機構としての分散Publish/Subscribeシステムに関する研究紹介

といった合計6枚です。このうち、NAIST紹介と4K伝送の研究については動画での紹介、Publish/Subscribeシステムの研究についてはデモも行いました。

Exif_JPEG_PICTURE

Exif_JPEG_PICTURE

会議がHPC系ということもあり、今年本学が導入したコンテナDCやOpenFlowを用いたDC省電力化の研究の人気が高かったように思います。また、私が担当していた分散Publish/Subscribeシステムの研究についても、ある種のビッグデータを取り扱う研究ということで、システムの足回りや研究の発想などについて多くの方に興味を持って頂けました。分散環境ではなく、ローカルなクラスタのノード間での通信にPublish/Subscribeモデルを用いたシステムの研究開発をされているという某企業の方や、分散システムとしてのPublish/Subscribeシステムに興味を持たれているという某研究所の方など、世界でもトップクラスの企業や研究所の開発者・研究者の方々と直接議論するというとても貴重な体験ができました。

Exif_JPEG_PICTURE

展示会全般

弊研究室の昨年のSC参加報告その1その2を読んでいると、昨年はスパコン系の話題やAmazonの展示など、計算機自体の密度を高めることや処理能力の高さ、トラフィックの収容力の規模とGreen computing関連の技術を打ち出す傾向にあったことがわかります。

今年の展示では、昨年に引き続き計算機の集約や性能の向上、水冷・油冷といったGreen系の技術などが打ち出されていたことに加え、ストレージの密度を高めるという方向性を打ち出している展示が多かったように感じました。(とはいえ私は昨年のSCには参加していないので一概には言えませんが…)

Intelのブースでは、実際のアプリケーションを例に取ったシミュレーションをデモを混じえて展示したり、自社CPU上での並列計算を利用して、ガウスの消去法の実行速度を競わせるという競技会も行われていました。NVIDIAブースでは自社製品のユースケースや実装のためのヒントを一日数回行われるプレゼンテーションで紹介していました。

計算性能の向上という面では、IntelのXeon PhiやNVIDIAのTeslaを搭載したノードがいくつも展示され、性能グラフなどと共に紹介されていました。また、計算ノードの密度を上げるということもメインフォーカスの一つだったように思えます。そんな中でも、GPGPUへの関心は依然として高いようで、NAISTブースの設備紹介のポスターを見て「GPGPUは導入しているのですか」といった質問や、研究関連のポスターを見て「GPGPUを使った研究はしているのですか」などといった質問を受けることがありました。今回の展示には出していなかったのですが、弊研究室では超楕円曲線暗号のGPGPU実装に関する研究も行っているため、その話の受けが良かったのも印象的でした。

一方で、個人的には、ストレージの集積度に力点を置いた展示が非常に多いという印象を強く受けました。一口にストレージといっても、実際の展示内容はHDDに関するもの、SSDに関する物、あるいはRAMに関するものと多岐に渡ります。

ストレージ製品というと専用のシャーシに入った巨大な物を想像しがちですが、SC13の展示ではラックマウント可能な、しかも2〜4U程度で収容可能なものが主流だったと思います。普通は天板がある面全体にHDDのスロットが設けられている製品や、ボードのほぼ全体がメモリスロットで埋め尽くされた製品などが展示・紹介されており、非常に刺激的でした。CPUやGPGPUの性能向上によって計算速度が飛躍的に高まる中、扱われるデータの大規模化に伴い、それを如何に省スペースに格納し、処理時のI/Oによるレイテンシを如何にして減らすかといった方向へ注力する部分が移っていっているようにも感じます。ちなみにですが、それらの製品は当たり前のようにInfiniBandや10GbEのNICを複数有しており、計算機の処理性能、ディスクI/O、ネットワークI/Oの3つの要素の性能向上によるボトルネックの移行速度が加速していると改めて実感しました。

分散システムの研究に携わるものとして、上に挙げた3つのボトルネックになり得る要素に対するアプローチと評価は、分散環境での大規模データ処理を行う上でも非常に重要だと実感しています。そんな中で、私たちの研究領域から、いずれ展示される製品に反映されるような貢献ができればと思います。

Masanao MATSUURA