修士/博士論文

磁気・LPWA RSSI・気圧差を用いた多階層建物を考慮した測位手法の提案

屋外で測位する場合、米国が運用するGlobal Positioning System (GPS)をはじめとしたGlobal Navigation Satellite System (GNSS)によって測位できます。しかし、屋内では衛星からの電波が建物の壁や天井によって遮断されるため、GNSSは利用できず、代替の測位手法(屋内測位手法)が必要とされています。特に清掃工場では、構内で作業する作業員の安全確保のため、測位システムの導入が検討されています。しかし、清掃工場では、施設運用のコスト削減が求められており、高額な測位システムは導入できないため、低コストな測位手法が求められています。そこで本研究では、屋内にて低コストで計測可能な特徴量である、磁気フィンガープリント(FP)とLow Power Wide Area Network (LPWA) RSSI、気圧差を用いた測位手法を提案しました。建物内では、建物の鉄骨が発する磁場の影響によって、任意の地点で計測される磁気に特徴が生まれます(=磁気FP)。よって、未知の地点においても計測された磁気をもとに地点の座標を推定できます。しかし、磁気FPはx,y,z軸の3軸しかないため、測位空間が広大になると、類似した磁気FPが異なる地点で観測され、測位誤差が大きくなる問題があります。そこで本研究では、磁気FPに加え、LPWA RSSIと気圧差を用いることで、広い空間での測位精度向上を目指しました。

研究実績

  • 松永 拓也, 新 佑太郎, 新井 イスマイル, 川端 馨, 遠藤 新, 垣内 正年, 藤川 和利, “清掃工場における気圧差・LPWA RSSIを用いたエリア推定,” 情報処理学会, マルチメディア, 分散協調とモバイル2022シンポジウム論文集, pp.822--833, 2022年7月
  • 新 佑太郎, 川端 馨, 新井 イスマイル, 松永 拓也, “清掃工場におけるLTEとWi-Fiを活用した磁気測位に関する検討,” 第33回廃棄物資源循環学会研究発表会講演集, pp.77--78, 2022年9月