教授藤川 和利
専門分野:モバイル・ネットワーク全般
「情報」と「データ」の違いはわかりますか?
この2つの言葉は、あまり区別することなく使われることが多いと思いますが、厳密に言うと違いがあります。「情報」とは、記号や記号の集まりに対して意味を与え、人間同士が意思疎通を図ることができるもので、「データ」とは、意味を与えられる前の記号の集まりです。
コンピュータやネットワークの技術革新により、我々は非常に多くのデータをやりとりすることができますが、必ずしもやりとりしたデータ量に比例した情報を受け取っているとは限りません。例えば、映像配信の際に、ハイビジョンディスプレイに対してハイビジョン動画を配信した場合と4K動画を配信した場合では、データ量は約4倍程度違いますが受信者に取っては同じ情報になってしまい、このような場合は4K動画を送ることは適切とは言えません。このようにコンピュータやネットワークの環境に応じたデータを選ぶことが、インターネットのような共有資源を利用する場合には重要になってきます。
私たちの研究室では、伝えるべき「情報」に対して最適な「データ」を用意するために、データの加工・調整技術を大きなテーマとして研究を行っています。扱うデータは、センサデータであったり、4Kなどの超高精細映像であったりします。また、電子図書館システムで扱われる電子書籍や電子ジャーナルも対象としています。
センサデータや超高精細画像は、特徴として時間軸に対してデータを処理する必要があるということが重要になってきますので、時間軸からずれるデータは破棄するなどといった調整を行ったり、データ同士の同期といった調整が必要になりますが、環境に応じた最適なデータ処理方法についての研究を行っています。
電子図書館システムでは、電子書籍や電子ジャーナルに利用者がメモやアンダーラインといった情報を付与することでよりリッチな情報にすることが可能になりますが、そのために最適なデータ形式はどういったものかということを研究しています。
研究は楽しくをモットーにしていますので、私たちと一緒にチャレンジすることを楽しみましょう。
助教垣内 正年
専門分野:ネットワーク運用
科学技術が発展するように、インターネットも発展を続けています。
インターネットには、かつて限られた高性能コンピュータだけが接続されていましたが、今やあらゆるコンピュータ、デバイスが接続されようとしています。
また、通信データも文字だけの小容量のデータから、画像、動画といった大容量マルチメディアへと大きく範囲を広げ、重要度も高まっています。
こういった時代の新しい要求に答えるためのネットワークアーキテクチャ、インターネット運用技術に取り組んでいます。
インターネットサービスを提供するインフラも多様化し、ネットワーク、ハードウェア、オペレーティングシステム、ミドルウェア、アプリケーションが仮想化され、複雑化・大規模化してきています。
そのため、運用コストの削減、サービス安定性の確保、情報セキュリティの維持といったことが課題となっています。
これら課題を解決するため、ネットワークアーキテクチャ、認証基盤、クラウド基盤、監視モニタリング、セキュリティをターゲットに研究しています。
助教油谷 暁
専門分野:4K/8K伝送
みなさん、4Kや8Kという言葉を知ってますか?
これまではあまり聞かれない言葉でしたが、最近では街の電器店さんで「4K超高精細テレビ 体験会・展示中」などという宣伝文句を見かけることが多くなってきたのではないでしょうか。
4Kは4000という数字のことを表し、映像を構成する横方向のドットの数で精細さの度合いを示しています。この4Kがどれだけ高精細かというと、みなさんのお家にあるハイビジョンテレビの横方向で2倍のドット数に相当し、面積比ではなんと4倍のドット数になります。映像が4倍緻密に表現されているということになります。
この4K超高精細映像では、より高い臨場感や緻密さを表現することが可能になり、デジタルシネマや遠隔医療の現場、美術品アーカイブの手法などにも応用されてきており、急速にニーズが高まって来ているといえます。ただし、取扱うデータ量が凄まじく大量で、遠隔への映像伝送や映像データ共有において多数の問題を抱えているのも事実です。
そこで、我々の研究室では、この問題を解決するひとつの手法として、映像の分散配信と遠隔での映像編集を行うためのデータ共有化の手法を研究し、実証実験を行ってきています。
特に今年からは、2020年に開催される東京オリンピックには普及させると言われている、8K(ハイビジョンの16、4Kの4倍) 映像の伝送にもチャレンジしており、今年2月には世界初となる8K映像伝送実験 (東京・大阪間) にも成功することができました。
みなさんの力を貸してください。そして、我々と一緒に、未来の映像を世界中に配信してみませんか。