清掃工場の炉室における機器の点検や清掃には熱中症の危険が伴うため, 複数人での実施が望ましい一方で, 実際には人員不足により作業員が炉室に一人で赴くことが多く, 熱中症などで身動きが取れなくなった場合に救助が遅れてしまいます. そのため,身動きが取れなくなった作業員を迅速に発見するために, 作業員の位置を追跡する屋内測位システムが必要とされています.
清掃工場における屋内測位の方法として, 本研究ではインフラ整備不要な磁気フィンガープリンティングに着目しています. 位置と磁気データを紐付けた磁気指紋を用いる 磁気フィンガープリンティングによる測位では, 測位精度が磁気指紋の特異性に依存しています. 清掃工場には,帯磁した金属,大型モータや発電機が広範囲にわたって存在しており, 様々な場所で磁気の特異性が観測でき, 磁気フィンガープリンティングが有効だと期待できます. 本研究では清掃工場を対象とした磁気フィンガープリンティングを用いた 屋内測位システムの開発を目的とし,実際の清掃工場から磁気データを収集して, 解析を進めています.